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紆余曲折あっても収まることろにしか収まることは難しい:「甲」について:「生木」と「死木」

「自然から生まれたものは、いずれ自然に帰っていく。人の手で作られたものは、そのままでは自然に戻ることはできない。」

これは、生物学者の福岡伸一先生が、以前、コラムに書かれていた言葉です。

 

 

自然のものは、ほっといても自然に帰るので、「廃棄」する必要がない。

例えば、秋になると地面に落ちる落ち葉は、やがて土になり、植物の役に立つ存在に形を変えていきます。

一方では、海に投げ捨てられたペットボトルは、大きな海の果てまで波が連れていくから、目の前からは消えてしまう。だから「捨てた」と思ってしまうけど、海にずっとペットボトルとして浮かんでいて、海の水には溶け込んでいかない。

完全に「廃棄」しようと思ったら、「廃棄」するための作業が必要となりますが、自然の中に戻る状態には慣れなくて、「リサイクル」として形を変える。

 

 

最近では、私の周囲でも、この事に問題意識を持って過ごす人が増えています。

この間、買い物をする時、「捨てる」ことまで考えて商品を選んでいると聞き、それからは、選択肢の中に「廃棄」も入れる事にしています。

 

 

 

「建築」の分野でも、「自然」を取り入れる流れが起こっているそうです。

ビルや高い建物を、木材を使用して建てる技術発が進み、実際に木造建築の建物が建てられているそうなんです。

強度も、鉄筋のものと変わらないくらい強いとのこと。

 

技術の進化は、素晴らしいですね。

 

 

五行の中で「木」は、唯一「命」の象徴でもあります。

 

「木」は、伸びやかに成長していく力を持っています。

自分の力で成長したいと望むため、操作されることを嫌います。

また、他者の成長を応援する気持ちが強く、周囲の影響を受けやすいとも言えます。

「情」の気でもあります。

 

 

木造建築の建物は、「木」の勢いが溢れています。

だから、とても居心地が良くて、やる気が出て、人にも優しくなれて、皆んなで一緒に進んでいける。そんな「空間」ではないかと思います。

 

 

五行「木」は、「陽」の「甲」と「陰」の「乙」に分類できます。

 

「甲」は木々

「乙」は蔓草

 

「甲」は、真っ直ぐに伸び行くストレートな勢いがあり

「乙」は、状況に応じて伸び行く方向を変える強かさがあります。

 

 

その中でも「甲」は、他の十干にはない特徴があります。

それは、「生木」「死木」の二つのタイプがあると考えるのです。

 

 

漢字を見ると、「生木」は良くて「死木」は悪いんじゃないかと思われるかもしれませんね。それは全く違います。

「生木」は、生きている木。すなわち大木そのもの。地面に根っこを張って成長する木です。

「死木」は、伐採された木。そして、材木として使用される木。有効活用されることで、役立つ存在として力を発揮します。

 

「生木」なのか、それとも「死木」なのかの判断は、命式の他の干支との関係性から判断します。

 

・「死木」となる場合

申月・酉月生まれ、地支が三合金局、西方合になる命式

かつ、日柱の根がない場合

 

申月は8月7日から9月7日まで

酉月は9月8日から7日まで

月の切り替わりは、年によって若干異なるので、切り替わりの日に生まれた場合には暦で確認してくださいね。

 

三合金局とは、命式の十二支に「巳酉丑」の3つが揃っている場合です。

この3つが揃うと、「金」が強められてると考えます。

 

西方合とは、命式の十二支に「申酉戌」の3つが揃ってる場合です。

この3つが集まると、季節が「秋」となり、「秋」の気である「金」が盛んになると考えます。

 

日柱は、命式の中で最も中心となる部分です。

日柱の十二支が「寅」「卯」「亥」の場合は、十干「甲」と固く結ばれ「木」が頑丈になります。

と言うのも、「寅」には「戊・丙・甲」が、「卯」には「甲・乙」が、「亥」には「甲・壬」が宿っています。なので、十干の「甲」と十二支の中の「甲」が非常に強く結ばれます。この場合、外からの影響を受けにくくなると考えます。切っても切れない「木」となるわけです。

このような状態を、日主に「根がある」と判断します。

よって、それ以外の場合は、「金」に切られてしまうので、「死木」と考えます。

 

 

「死木」の場合は、なんと言っても、材木として使っていくのが良い状態となります。

「金」の五行である「庚」で材木を切り整え、「水」の五行の「壬」で材木を水に浸して強くします。

 

「庚」「壬」が巡ると、運気に勢いが増し、「吉」となるなるのです。

 

 

 

「生木」となる場合

「死木」以外は全て「生木」であるとします。

切られていない木は、全て生きています。

 

 生きている木なので、運気を上げていくには、太陽と水が欠かせません。

「火」の陽である「丙」と、「水」の陰である「癸」があると、命式が喜びます。

「丙」は明るい太陽。「癸」は恵の雨です。

大きく木が育つために、太陽と雨が必要です。

 

 「寅」「卯」が地支にあり、「土」の陰「己」があると安定します。

「土」の陰は大地や畑です。

大地に根差した木として、安定できると考えます。

 

根を張っていない弱い「甲」の場合、横に「甲」があると守ってくれます。

一本で立つ木は、外からの攻撃をまともに受けてしまいますが、「森」になると、攻撃の勢いが分散してくれるからです。

 

反対に、茂りすぎる「甲」には、「庚」で枝葉を切ってコントロールします。

風通しを良くして、木々が枝葉を伸ばせる環境を整えます。

 

2・3月生まれの場合は、若葉です。

逞しい斧の様な「庚」では切りません。

若葉には斧は強すぎます。

もしも、「金」が強すぎる場合には、「火」の「丁」を使って「金」を抑え、同時に「己」を使って「金」の力を外に漏れ出すことで弱めていきます。

 

 

「木」が良い状態である時は、情け深く慈愛に満ちていて、向上心を忘れずに進んでいいける巡りが生まれます。

過剰になると、進路を阻む全てに対して「攻撃的」になったり、常に進まないと気持ちが焦って、動き過ぎてしまいます。空回りになってしまったり、動いても結果に繋がらない巡りとなってしまいます。

 

 

命式に「木」がなくても、世の中には「木」で溢れています。

だから、誰もが皆んな「木」を感じています。

自分の巡りの中にも「木」は溶け込んできます。

 

 

ピンポイントで目標を設定し、それを達成する景色とは、「木」が上に向かって伸び行く様です。

 

「生木」でいくのが良いのか、「死木」でいくのが良いのかは、その目標によって対策が変わります。

 

 

人の目なんて気にしない、わたしはわたしで行きたいならば「生木」として

皆んなが喜んでくれる笑顔がたくさん見たいのならば「死木」として

対策を立ててみてくださいね。

きっと、気がつけば、スムーズな巡りと一体化しています。

自然の巡りと一体化していると収まるところに収まります。

なのできっと大丈夫。