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自分のご機嫌を取ると「運の良い人」になれる理由:「内因」について:7つの感情と向き合おう

東洋医学では、「気」「血」「水」が、その人らしくバランスを取りながら巡っている状態を「健康」であると考えます。

 

そのバランスを崩してしまう原因としては、外からの影響である「外因」と、身体の内面からの影響である「内因」と、それ以外の影響である「不内外因」の3つです。

 

「外因」は、気温が高い、低い、風が強いなど。季節の変動から受ける影響です。

「内因」は感情に影響です。

「不内外因」は生活習慣による影響です。

 

 

その中で「内因」は7つに分類されています。

つまり、人が感じる感情の種類は7つあると考えられています。

その7つは、「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚」です。

これを「七情」と言います。

この7つの感情のバランスが取れている状態が、感情的に安定している状態となります。「内因」が安定している状態です。

 

どれか一つの感情が大きくなりすぎると、偏りが生じます。また、どれか一つの感情を押し込めてしまうのも、偏りを生じることになります。

大きくなりすぎるのは、「突然強く感じる」場合と、「長時間に渡って感じる」場合です。

偏りすぎるとコントロールができなくなり、「失調」してしまいます。それにより、体調や精神的に影響を及ぼしてしまいます。それだけでなく、行動や発言にも影響が出てきます。

 

 

それぞれの感情は、特定の気と臓器に関与しています。

よって、どのような影響が現れるのかは、気や臓器に「失調」が起きた場合に当てはめて考える事ができます。

 

 

 

「良い状態」とは、その感情を適度に感じることで「七情」がバランス取れている状態です。

「悪い状態」とは、その感情が強過ぎる、または、押し込め過ぎることで「七情」のバランスが偏り、それによって生じる状態です。

 

 

 

<喜>

・影響がある臓:心

・関与する気:火

・気の状態:緩む 膨張する

 

「心」は「神」とも言われ、感情を統括しています。(君主の官)

呼吸、知覚、表情、動作に影響を与えています。

つまり、影響を多方面に広げていきます。

勢いが強すぎると、広がり過ぎて収集がつかなくなります。

弱いと、沈んで冷えて、下に溜まってしまいます。

適度な「喜」は、全ての感情を動かす原動力となります。

 

・良い状態・・・伸び伸びとしている 明るい 元気 チャレンジ精神旺盛 

・悪い状態・・・集中力が低下 やる気がない 不眠 

 

 

 

 

<怒>

・影響がある臓:肝

・関与する気:木

・気の状態:上昇する

 

「肝」は巡りに勢いを与える(疏泄作用)があります。伸びやかに上に向ける働きがあります。勢いが強すぎると、上がりっ放しで下がりにくくなります。

弱いと、巡りが滞り、物事が滞留してしまいます。

適度な「怒」は、物事を突き動かしていくスイッチとなります。

 

・良い状態・・・向上心がある 改革精神 チャレンジ精神

・悪い状態・・・考えが空回りする 気持ちばかり焦る 情緒不安定 不眠 怒りっぽい

 

 

 

<憂>

・影響がある臓:肺

・関与する気:金

・気の状態:収縮 縮む 閉じる

 

「肺」は呼吸を司っていて、新陳代謝に関与しています。

また、新鮮な「酸素」(清気・せいき)を吸い込み、不要になった「二酸化炭素」(濁気・だくき)を排出します。それによって、体を常に「清らか」な状態に整えていきます。(衛気・えっき)

衛気は、肺の機能である宣発作用により、体の表面に広がっていきます。衛気が正常に働いていると、体表面にバリアが貼られているため、外邪の侵入を防ぎます。

適度な「憂」は、そのバリアが強くなりすぎないように整えます。

 

・良い状態・・・嫌な事から距離をおく 人の意見に振り回されない 自分の意見を持つ

・悪い状態・・・周囲の影響を受けすぎる 何をしてもつまらない ネガティブ思考

 

 

 

<思>

・影響がある臓:脾

・関与する気:土

・気の状態:下降する 固まる

 

「脾」は食物の中にある栄養分を全身(上向きに押し上げる)に運ぶ機能があります。その栄養を源にして、「気」や「血」が作られます。

適切な「気」「血」は活動の源になります。多すぎると詰まってしまい、動けなくなります。

少な過ぎると、エネルギー不足となり「消化不良」を起こしているような状態となります。

適度な「憂」は、芯をしっかりと固めて、安定させてくれます。

 

・良い状態・・・腹が座っている 軸がぶれない 自信がある

・悪い状態・・・優柔不断 周囲に振りまさされる 現実を受け止められない 心配性

 

 

 

<悲>

・影響がある臓:肺

・関与する気:金

・気の状態:弱体化 消える 冷える

 

「肺」は呼吸を司っていて、新陳代謝に関与しています。

また、新鮮な「酸素」(清気・せいき)を吸い込み、不要になった「二酸化炭素」(濁気・だくき)を排出します。それによって、体を常に「清らか」な状態に整えていきます。(衛気・えっき)

衛気は、肺の機能である宣発作用により、体の表面に広がっていきます。衛気が正常に働いていると、体表面にバリアが貼られているため、外邪の侵入を防ぎます。

適度な「悲」は、自分にとって不快なものを排除するよう働きかけます。

 

・良い状態・・・嫌な事から距離をおく 人の意見に振り回されない 自分の意見を持つ

・悪い状態・・・周囲の影響を受けすぎる 何をしてもつまらない ネガティブ思考

 

 

 

<恐>

・影響がある臓:腎

・関与する気:水

・気の状態:冷える 下る

 

「腎」は水分代謝を司っています。腎がうまく機能していると、全身が「水」で潤っている状態となります。潤うことにより、全身の機能はスムーズに動く事ができます。

「腎」が蔵している「腎陰」は、全身の「陰液」の根で、「腎陽」は全身の熱源の源(命門の火)となります。つまり全身の陰陽バランスを司っています。

 

適度な「恐」はバランスを崩しそうになるのを防いでくれます。

 

・良い状態・・・状況を俯瞰して捉え適切に判断できる 心が広い 受け流す(良い意味で)

・悪いい状態・・・気持ちが下がる 物事をネガティブに捉え過る 先の事が想像できない

 

 

 

<驚>

・影響がある臓:腎

・関与する気:水

・気の状態:蒸発する 散乱する

 

「恐」の感情は、長い時間感じる感情です。一方で「驚」の感情は、突発的な出来事に対して突発的に生じる感情です。とても強く、持続性はありません。

「腎」に衝撃が加わり混乱した状態になります。陰陽のバランスが掻き乱されてしまいます。

 

適度な「驚」は、全てをリセットして新しくなるきっかけとなります。

 

・良い状態・・・リセットする 気持ちを切り替える オンとオフ

・悪い状態・・・混乱して視点が定まらない 感情が非常に不安定 心が掻き乱される

 

 

 

自分のご機嫌を自分で取れる人は、「運の良い人」だと言われます。

 

ご機嫌を取れるのは、「七情」を自分の力でコントロールできているからです。つまり、「七情」が安定しているのです。

それは、自分の内側にある「気」が、スムーズに巡り、常に整えられていることになります。

 

 

何が起こったのか、ではなく、どう受け止めたかによって、「結果」が自ずと変わります。

「内因」が整っていると、受け止め方も整います。真摯に受け止めて、それから「行動」「言動」へと繋げていきます。

 

 

ここで大事なポイントは、「全ての感情は同じ様に必要」だということです。

怒りは怒りとして怒る。

悲しみは悲しみとして悲しむ。

何に巻き込まれようとも、「前向き」に「明るく」振る舞って見せようとするのは、「内因」が偏り過ぎていきます。

偏り過ぎて崩れてしまう前に、不必要な「笑顔」は捨ててしまいましょう。