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「十干」と「十干」が出会って起こる「景色」:「比劫」について

 

四柱推命では、五行が混じり合うことで生じる「景色」を想像して、「運」や「巡り」を考えていきます。

 

五行は、10個に分けることができます。それを「十干」と言います。

 

 

「十干」は「外に現れる現象」として捉えることもできます。

ただし、「十干」は、「ひとつ」で存在しているのではありません。

「命式」の中には「4つ」の十干があり、それらがお互いに影響を与え合います。

また、巡る五行や、環境、一緒に過ごす人が持っている十干も、命式に影響を与えます。

 

よって、日主の十干は、その他の十干との組み合わせから、どのような「景色」が生まれるかを理解する必要があります。

 

 

 

十干同士の組み合わせは、100種類あります。(10個10個)

これらの組み合わせを解釈する理論を「十干百態論」と言います。

 

結構たくさんありますよね。

これら全部を一度に説明すると、とても時間が足りないので・・・・

今回は、生まれた日に巡っていた「十干」である「日主」と同じ五行との組み合わせについて書いてみたいと思います。

この組み合わせの事を、「比劫」(ひごう)と言います。

巡る運気では、「比劫が巡る」とも言います。

 

 

「比劫」とは、「比肩」(ひけん)と「劫財」(ごうざい)の総称です。

日主と同じ五行と合わさると、自分の「プライド」がグイッと勢いを増します。

自分の頭から、真上に向かって「気」が放たれていくイメージです。

「芽」が出る姿を想像してみると、わかりやすいかもしれませんね。

日主の作用そのものの勢いを増す作用があります。

そして、日主を抑え込んでいた「殻」を、その勢いが破ります。

 

 

身旺の命式の場合、自分の我が強くなりすぎる傾向が出ます。

なので、いつも以上に「わがまま」になりやすい。

そこは注意が必要です。

 

身弱の命式の場合、やる気や自信が強められる傾向が出ます。

なので、いつもだったら勇気がなくて踏み出せない事が、思い切ってできるかも。

だから、頑張りどき。

身弱の人の場合は、この巡りがやってくる時には、大きな決断をしたり、新しい「旅立ち」に出発する人が多いです。

 

 

 

1)「比肩」

同一五行で陰陽も同じです場合です。

 

①日主「甲」に「甲」

大木が並んで伸びゆく景色です。

「木」は情け深い五行です。

なので、この巡りに入ると、非常に情が深くなります。だから、心配のあまりお節介になりがちです。

地支に「木」を持っている「寅」「卯」がある場合は、頑丈な幹を持つ大木となります。頑固な面が表面に出ます。

 

②日主「乙」に「乙」

蔓草が絡まりあって生えている景色となります。

四方八方に蔓草が枝葉を伸ばします。なので、こんがらがってしまう。。。

だから、あれこれ考えるあまり優柔不断になってしまう。また、情に振り回されて、情け深い「乙」さんは、面倒な役目を引き受けてしまう傾向が出ます。

 

③日主「丙」に「丙」

空に太陽が二つ並ぶ景色となります。照り付ける熱に地面が焼かれてしまいます。

自我が非常に強められる傾向が出ます。

また、「丙」の特徴である「他者の影響を受けない」傾向も強くなります。

なので、人間関係でトラブルが生じやすくなります。

ただし、冬生まれの場合には、辺りを暖める景色となります。情熱的で人望を集める傾向が出ます。

 

④日主「丁」に「丁」

蝋燭が並んで灯る景色となります。

一本では頼りない炎が、仲間を得て安定して燃え続けることができます。

決断力・行動力が安定します。(強められるのではありません)

近くに「木」(特に甲)がある場合は、炎がますます燃えることができます。なので、特にこの傾向が強められます。

揺らぎない信念を持ち行動できます。

 

⑤日主「戊」に「戊」

山が二つ並んで聳え立つ景色となります。

「戊」のどっしりとした安定感が増します。

このために、頑固でマイペースな特徴が出やすい傾向となります。自分のペースで着実に進ことができます。

地支に「戊」を持っている「寅」「辰」「戌」があると、この傾向がさらに強められます。頑固過ぎて動けなくなるかも。

 

⑥日主「己」に「己」

広大な大地が果てしなく広がる景色となります。

「己」の面倒見の良さの「間口」が広がります。このために、人の用事を抱え込みすぎる傾向が出ます。

また、様々な人の意見を聞き過ぎて、石橋を叩きすぎて前に進めない傾向が出ます。

特に身旺の命式の場合は、迷いが生じて進めなくなる可能性があります。

 

⑦日主「庚」に「庚」

大きな鉄の塊が二つ鎮座している景色となります。

「庚」は捻じ曲げられることを非常に嫌うため、外からの影響を拒絶し、そのため攻撃的になってしまう傾向が出ます。

「言葉」や「態度」で人を傷つけてしまうこともあります。

「火」の勢いが強い場合は、試練に立ち向かう情熱が出ます。

「木」の勢いが強い場合は、試行錯誤して立ち立ち向かう行動力が出ます。

 

⑧日主「辛」に「辛」

きらびやかな宝石が二つ並んでいる景色となります。

「辛」は感受性の塊です。なので、感受性に磨きがかかり、個性が際立つ傾向が出ます。強いこだわりは「辛」の特徴である職人気質を高めます。

「木」があると、「辛」にとって、表現力が加わるために「吉」となります。

 

⑨日主「壬」に「壬」

川が二つ合流した景色となります。

水が勢いよく流れるために「壬」の特徴がそのままの形で出やすくなります。

そのため躊躇することなく行動します。それが吉なのか凶なのかまで考える余地がないため、注意しなくてはいけません。

止まっている気を一掃する力があります。

 

⑩日主「癸」に「癸」

霧雨と霧雨が合わさる景色となります。

霧が深くなります。考え出したら、どこまでも深く考え込んで深みにハマっていく傾向が出ます。

命式に「癸」が並んでいる場合には「壬」として解釈をする方が当てはまります。しかし、その場合も「癸」の持っている「柔軟性」は変わりません。

 

2) 劫財

同一五行で陰陽が異なる場合です。

日主十干が「陽」の場合の劫財となる「陰」干を「敗財」、日主十干が「陰」の場合には「劫財」と分けて呼ぶ派もあります。

これは、日主が「陽」干の場合には、「陰」干があっても、あまり役に立たないからと、考えられているからです。

でも、その人の特徴の幅を広げてくれる働きをしてくれるとも考えることができます。

 

 

①日主「甲」に「乙」

大木に蔓草が根を張り伸びていく景色となります。

大木は、蔓草に養分を取られてしまいます。迷惑な蔓草の存在を、受け入れてしまう大木は、「良い人」です。

人から迷惑をかけられても、必要以上に情けをかけてしまい許してしまう傾向が出ます。

 

②日主「乙」に「甲」

蔓草が大木の助けを借りて、高く伸びていく景色となります。

大木の支えは、蔓草にとって、とても頼り甲斐のある存在です。

この状態を「藤羅伴甲」と言い、素晴らしい景色であると考えます。

周囲の助けを借りながら、目標に向かって進んでいく傾向が出ます。

 

③日主「丙」に「丁」

太陽が照らしている場所で、蝋燭の炎が燃えている景色となります。

身弱多財の命式の場合には、「財」が強められて結果が出やすい傾向が出ます。

地支に「巳」「午」がある場合には、「火」の勢いが増すために、感情的な行動を起こしやすくなります。

 

④日主「丁」に「丙」

蝋燭の炎が燃えているにもかかわらず、太陽が明るく照らしている景色となります。

蝋燭の炎は、暗い中ではくっきりと輪郭を表すことができますが、この場合は、炎の存在感は薄れてしまいます。

せっかくの言動が、思ったより影響を与えない、または、他人の手柄とされてしまうなど。モヤッとした景色となります。

 

⑤日主「戊」に「己」

山の裾野に広い大地が広がっている景色となります。

山そのものには大地は影響を与えません。しかし、大地が広くなるほど、山に人が近寄りにくくなります。そのため、孤立感を感じる傾向が出ます。

 

⑥日主「己」に「戊」

大地のそばに山が聳え立つ景色となります。大地には、山から水が流れ込みます。

なので、豊かな土壌となります。

身弱の命式の人にとっては、頼りがいのある十干となり、安定して物事が進みます。

身旺の場合には、豊かになり過ぎるために、傲慢な傾向が出ます。

 

⑦日主「庚」に「辛」

鉄の塊の横にきらびやかな宝石が並んでいる景色となります。

現実性を重視する「庚」と精神性を重視する「辛」が混じり合うために、両者の間で軋轢が生じやすくなります。

そのため、必要以上に正義感が強くなるか、感情的になる傾向が出ます。

 

⑧日主「辛」に「庚」

きらびやかな宝石を、頑丈な鉄の入れ物が守っている景色となります。

繊細で傷つきやすい「辛」は、「庚」によって勇気をもらうため、気持ちが大らかになります。

特に「火」が強い命式の場合には、「庚」の守りが役に立つので「吉」と考えます。

身旺の場合には、気持ちが大きくなり過ぎて、大盤振る舞いになる傾向が出ます。

 

⑨日主「壬」に「癸」

大河に雨が降り注ぐ景色となります。

身旺の命式では、「癸」が大雨となり、洪水を起こしてしまうと考えます。そのために、越えてはいけない「境界線」を自ら破ってしまう傾向が出ます。

身弱の命式ではさほど影響はないと考えます。

 

⑩日主「癸」に「壬」

水源を確保できている雨が降っている景色となります。(湿った空気を取り込んだ梅雨前線のような感じ)

「壬」は「癸」にとって、頼りになる存在です。自信を持って行動を起こせる傾向が出ます。

身旺の命式の場合は、自分勝手に動き過ぎる傾向が出ます。

 

 

 

2020年は「庚」、2021年は「辛」が巡りました。

日主「庚」「辛」の人にとって、昨年と今年は「比劫」です。

自分の「気質」が、そのまま表に出やすい傾向がある年回りなのです。

節分までは、この巡りが続きます。

なので、迷ったら、自分の胸に手を当てて、自分の声を聞いてみると良いですね。

 

 

2022年は「壬」、2023年は「癸」が巡ります。

日主「壬」「癸」の人にとって、「比劫」となります。

頭の上の「殻」を破って、小さな「芽」を出す準備を、そろそろ始めましょうね。