「陰」が極まると「陽」になる:「陰陽理論」:「冬至」のおすすめの過ごし方
明日、12月22日は「冬至」です。
冬至とは、一年のうちで、一番夜が長くなる日。
どういう事かというと、太陽の黄経(こうけい)が270度に達するため、太陽が最も南に位置します。そのため、北半球では日照時間が最も短くなり、そのため夜が長くなるのです。
全てのものは「陰陽」のセットで成り立っています。
天体の星にも陰陽セットがあります。
太陽: 陽
月 : 陰
そして
昼 : 陽
夜 : 陰
太陽(陽)が南(陽)に位置し、月(陰)が長く滞在し、夜(陰)が最も長くなります。
「陰」がいっぱいいっぱいになって「陽」が水面下に最も深く潜り込みます。
中国では、「一陽来福(いちようらいふく)」と言い、太陽の力が最も弱くなる日を境にして、今後、陽が上昇するとされていて、「冬至」は「出発前夜」なのです。
暦でも、12月は「子の月」
「子」は、終了の「了」に「一」を合わせた文字です。
つまり、「子」とは、「終わりの始まり」。
「冬至」を境にして、来年度に向けての「活動」が、動き始めます。
それは、まるで、勢いよく「水」が流れる様に。さらさらと、清らかに。
「子」は、勢い溢れる「水の気」です。
水溜りができると、「水」が濁ってしまいます。だから「子」は止まる事が嫌いです。少しでも隙間を見つけると、「強行突破」します。
日本では、陰が極まる冬至を「最も死に近い日」として、厄を払うために「運盛り」をします。
運が良くなるために「運(うん)」にちなんで末尾に「ん」の付く食材を食べると良いと言われています。
その代表選手は「かぼちゃ」です。かぼちゃは、「南瓜(なんきん)」と呼ばれる夏野菜です。
夏は「陽」がいっぱいの季節。
「陰」に対抗して「陽」を食してバランスをとる、という意味もあるのです。(諸説あります)
薬膳では、全ての食材には体にとって大切で必要な「効能」があり、効能を適切なバランスで摂る事で、体調を整えていけると考えます。
食材には、それぞれ人体の臓腑、経絡、部位などに対して特別な作用を示す力が宿っていると言われています(帰経)。
かぼちゃは帰経は、「脾・胃」
どんな作用を示すのかというと
補中(ほちゅう):消化機能を円滑にする
補気(ほき) :少なくなってしまった気を補う
そして「温性」。つまり「温め食材」です。
「脾・胃」は、「土の気」の管轄です。
「土の気」は、安定感抜群の「気」で、「信じる」気持ちを応援してくれます。
「水」が暴走してしまい、全てを諦めて投げ出したくなったり、放り出して逃げ出したくなった時、強固な「土嚢」となって、押し留めてくれます。
冬・冬至・12月は、「陰の極み」、つまり、「水」が湧き上がる頃。
「陰」は、「受容・許す・受け止める」
一年を振り返ってみた時に、「できなかった事」「失ったもの」「諦めた事」たくさんのネガティブさえも、「水の気」は洗い流してくれます。
そして、「土の気」は、「今できなかったとしても、でも、自分を信じて、来年もう一度挑戦してしてみよう」と、背中を押してくれます。
また、占星術では、「月」は「感情・心」を司る星だとされています。
「冬至」は
自分の気持ちを受け入れ、許し、きれいに流して、「新しい自分」が始まる日。一年で一番「月」と長く一緒にいられるから、きっと、自分の本音を感じる事ができるはずです。
昨今、「不確実性」の世の中になったと言われます。
「形」のあるものが、実は「虚像」だったと気付かされる出来事や、積み上げてきたものが、今後本当に役に立ってくれるのかどうかわからなくなり、不安ばかりが大きく膨らんでしまったり。
溢れかえる情報は、果たして「本当」の事を伝えてくれているのか。
「外の景色」が見えずらくなっていく。
だからこそ、自分の中に、安定した「土の気」を意識して感じてみる。
「自分を信じきる」事ができる人は、周囲が例え、どんな「景色」を見せてきたとしても、「自分の土台」がブレません。
そして、もう一つ、今の時期の食材は「小豆」です。
小豆は、薬膳では「利水(りすい)」の食材。
利水とは、湿邪(自然界の湿気を帯びた邪気)を尿として体外に排出する効能があるとされています。
「水」が増える時期は、冷たい水が下に流れて溜まるように、冷えからくる浮腫が起きやすくなってしまいます。
そんな時、小豆は活躍してくれるのです。
だから、冬至には、かぼちゃと小豆がたっぷりの「いとこ煮」は良いかもしれませんね。
ほくほくかぼちゃが、「信じる」気持ちを感じさせてくれて
甘い小豆が、暴走する「水」を上手に調整してくれると思います。
12月23日
素敵な「朝陽」が昇りますように。