「最高の二人」・「水火激冲」と「水火既済」
四柱推命を用いる占いでは、二つのアプローチをしていきます。
まず基本となるのは、「命式」を深く読み解くことです。
「命式」とは、生年月日から導く、個人の取扱説明書のようなものです。
「こんな事が好きかもよ」とか、「これはちょっと苦手でしょうね」など、決めつけではなくて、どうすれば「居心地良く感じるか」を考えていくのです。
それから、次は、「調整」とすることです。
自分の周囲の「気」や、やってくるであろう「気」が、自分にどのように影響を与えていくかを観ていくと、影響によりバランスが崩れる時期が読み解けます。
バランスが崩れる時は、動きが出るチャンスですが、あまりにも崩れてしまうと、重すぎたて辛かったり進めなかったりするのです。
それを、いい感じに崩れるよう、「五行」を使って整えていきます。
その場合、やはり、個人の「命式」が基本となるので、あくまでも、「自分でできる範囲の調整」をしなくてはいけません。
調整方法は二つあります。
強すぎる、または、勢いが大きすぎる場合には、「減らす」方向で
逆に、弱すぎる、または、自分の中心となる気が消耗してしまう場合には、「補う」方向で
それぞれ調整していきます。
東洋医学で言うところの、「瀉法」と「補法」ですね。
その中でも、最も気を付けなければいけないのが、「水」と「火」の扱い方です。
「命式」のバランスが、「火」が多い場合、または、「火」があり、その「火」を育てていく力が働いているバランスのとき、「命式」の熱量が高くなります。つまり、「熱く」なるのです。
勢いよく燃え盛る「火」加減を、調整していく方法をとります。
また、「水」が多い場合、「水」を中心として「水」を生み出す気が強く働くときは、「水」が溢れるバランスとなります。
冷たい「水」が溢れていて、「寒い」のです。
「火」が熱く、「木」は「火」を育てます。「土」はどちらでもないですが、「溜める」力があるので、周囲の気の影響を受けて状況が変わります。
「金」は「火」の勢いを奪い、「水」は「火」を消そうと抑え込みます。
なので、「火」は「木」があると熱くなりやすく、「金」「水」が多いと冷たい「火」となって、「火」の良さが抑えられてしまいます。
「水」は冷たく、「金」も冷たい気です。なので、「水」と「金」が多いと、「命式」は冷えています。
「土」は温度的には、影響をしません。多いと「水」を堰き止めてしまうので、「水」の良いことろを抑え込みますが。
「火」の場合は、「水」が熱せられるので、「お湯」になります。つまり熱くなるのです。しかも、ちょうどいい「薪」(木)があると、「火」がどんどん燃えて、「水」を煮立たせ蒸発させます。
ほどほどの「火」でないと、「水」はななくなってしまいます。
熱すぎる「命式」の場合は、燃える闘魂で頑張る人が多く、冷たすぎる「命式」の場合は、現実的でクールな人、それから、「冷え性」の人が多いです。
やはり、偏りすぎると不具合が生じやすいので、「命式」が、熱すぎていないか、冷たすぎないか、読み解きながら、温度を調整していくのです。
運気を観る場合、巡ってくる暦だけでなく、一緒に過ごす人の持っている気も影響を受けます。
なので、いつ、熱すぎたり寒すぎたりするのかも、暦や一緒に過ごす人の五行バランスと重ね合わせると、想定できます。
そこで、特に注意が必要なのは
「水」と「火」のバランスです。
大きすぎる「水」の中に、不用意に「火」が注ぎ込まれると、一気に「水」が蒸発してなくなります。「水」が混乱してしまうのです。
これを「水火激冲」(すいかげきちゅう)と言います。
どのような状態になるのかというと、熱は上に上がりすぎ、冷気は下に下がりすぎるイメージです。
このような場合、頭がのぼせてめまいが起こしやすかったり、冷え性が進んで、体が重たく気持ちが沈むように感じる方が多いです。
そうすると、どうしても、何かしようと思っていても、考えばかりぐるぐると巡り、でも、体は動けず、葛藤が生まれます。
当然「運気が下がっている」と感じことになってしまうのです。
「水」の陽の「壬」または、「火」の陽の「丙」が強すぎたり、弱すぎた場合に、「水」や「火」の巡る運気が来る場合や、周囲からの影響を受ける時に起こります。
「漁師飯」で、冷たい鍋に、熱い石を投入すると、あっという間に煮立って、美味しい鍋ができるような感じです。
鍋は美味しいかもしれないけど・・・・自分の気が、一瞬に集中して一気に煮立つのはキツイですよね・・・。
この様になってしまわないために
「火」が多い場合は、「金」を使って「火」の熱量を下げ
「水」が多い場合は、「木」で余分な「水」を吸い取ったり、「土」に堰き止めて抑えてから、調整します。
突然、思い通りにいかなくなったり、気持ちがグラグラする時は、もしかしたら「水火激沖」の可能性もあるかもしれないですね。
取り扱い辛い「火」と「水」ではありますが、「最高の運気」も、実は「水」と「火」から成り立つ「景色」です。
「壬」と「丙」との間で、良いバランスが取れているとき、「水火既済」(すいかきせい)と言い、朽ちることのない不滅の「財」が溢れると解釈をします。
大海原の水面を、真っ赤な太陽の光が照らし、キラキラと輝いている「景色」を表しています。
取り扱い注意の二つの気は、絶妙なバランスが取れたとき、最高の「景色」となります。
相反する二つのものは、お互いの力を尊重し合って、お互いの良い部分を認め合って、「最高の運」となるのです。
同じ気同士の関係にも関わらず、「最低」と「最高」になるのは、どこに違いがあると思いますか?
ポイントは、「距離感」だと思います。
つまり、「水火激沖」は、お互いに近づき過ぎて、しかも相手を動かそうとします。
「水火既済」は、離れてお互いを讃えあっています。動かそうとはしていません。
不用意に、または、一方的に、相手を変えようとするのは、二人の間で「水火激沖」が起こっているのかもしれませんね。
情熱の「火」と、叡智の「水」は、尊重し讃え合ってこそ、共存できるんですね。