「おみくじ」の活用方法:「吉」「凶」とは何か『悔吝(かいりん)を憂うものは介に存し』
東洋思想では、全てのものは、両極があると考えます。(一元二極)
そして、一つの気の中にも、相対的な気が存在していると考えます。(気一元論)
男女の交わりから子供が誕生するように、相対する気が混じり合うことで「化学反応」が生じ、そこから考えもつかない新しい「創造物」が誕生します。
古代中国人は、「陰陽」から生じる「化学反応」が、「進化」の構造単位であるとし、両者のせめぎ合いから起こる「化学反応」を分析することで、「進化」の過程や動いていく方向を想像していきました。
「陽」とは・・・促進していくもの(来水) 時計回りに進む
「陰」とは・・・抑制していくもの(去水) 反時計回りに進む
なので、どちらか一方だけでは、何も「生まれない」ことになります。
つまり、「良いこと」もあり、「嫌なこと」もあってこそ、「生き様」から何か生まれ、そこから「始まる」のですが・・・・
やはり、誰しも皆んな「良いこと」ばかり望んでしまう。
「嫌なこと」はイヤだから。
できれば遭遇したくない。。。。。
そもそも「嫌なこと」とは何か。
「嫌なこと」とは、「嫌だ」と自分の心が感じること。
例えば同じ状況下に置かれたとしても、人によって受け止め方が異なるように、一言では語れないのが「嫌なこと」かもしれません。
でも、その「嫌なこと」を避けたいから、工夫をしたり、努力をして、止まらずに動いていけるとも言えます。
では、その人を突き動かすものは何かというと、「感情」だと思います。
「感情」にも当然「陰陽」があります。
それは、「喜」と「忌」です。
つまり、「良い気分になる」と、「嫌な気分になる」こと。
「感情」が「快」の方に流れると、もっとそれを欲する「渇望」へと進化して、やがて手に入れる「喜び」が生じます。
「不快」の方に流れると、それを避けたい「嫌悪」へと進化して、やがて「忌む」気持ちが固定します。
広がって大きくなるのは「陽」なので、「喜」は「陽」の「感情」で
抑えつけられて固まるのは「陰」なので、「忌」は「陰」の「感情」です。
「喜」は、「陽」の性質から考えると、たくさんの人と共有できるし、次々に繋がっていくので、一人で味わうものではないことがわかります。
だから、人と分かち合いたい。
そうすると、もっと勢いが増すから。
「忌」は、「陰」の性質から考えると、勢いが増していくと、どんどん自分の感情が固まって、石のようになって、心を重たく支配して、どうにも立ち去ってくれない・・・
お腹の中に、大きな石がはまり込んで、ご飯も喉を通らなくなり、便秘にもなる。
だから、石が小さいうちに除きたい。
一人で抱え込むのは、やめた方が得策です。
人に頼るもの大事。
人に話を聞いてもらって、心が軽くなったら、それは、他の人の力を借りて、石を取り出したからなんですね。
人に話を聞いてもらわなくても、ちょっとだけ心が軽くなる方法があります。
それが「占い」を受けること。
ガッツリ「占い」じゃなくても、「おみくじ」のようなものでも、「大吉」が出るとなんだか嬉しくなる。
良いことが書いてある「おみくじ」を読むと、励まされている気分になって、心の中の石を放り出す力が湧いてくるようですよね。
陰陽で考えると、「吉」は「陽」で、「凶」は「陰」となります。
「おみくじ」は、「今この瞬間」どんな気が流れているのかを、スッパリと切り取った景色を伝えてくれます。
つまり、一つの「時」に焦点を当てていると考えてみてください。
その「時」がどの様な状況であるのかを観ていきます。
つまり、「これからどうなっていくのか」の様な「流れ」を読む事はしません。
現状が「イエス」なのか「ノー」なのか、結果が「出る」のか「出ない」のか、思い通りの出来事が「起こる」のか「起こらない」のかを判断していきます。
「イエス」「出る」「起こる」については「吉」、「ノー」「出ない」「起こらない」については「凶」と判断をします。
その判断は、その場限りのもので、将来を補償するものではありません。
・おみくじにおける「吉」と「凶」
<吉>
得ること・・・結果が形として現れる
投げ掛けたことが返ってくる
例)彼から連絡が来る
試験に合格する
通じること・・次の状況に向かって進む
次の場所に辿り着く
例)提案が認められて仕事を任される
転職先が見つかる
仲直りができる
<凶>
得られないこと・・結果が出ない
投げ掛けたものが戻らない 失う
例)彼から連絡が来ない
試験に不合格となった
通じないこと・・障害があり進めない
邪魔されて掴めない
例)提案が認められず仕事につながらない
就職試験が上手くいかなくて不採用となった
申込者が多く抽選に外れた
分かり合えず交渉が決裂した
「吉」「凶」は、その場限りの結果です。「吉」となったから、その先ずっと、その状況が補償されているわけではありません。「凶」となった場合でも、「流れ」から観ると、良い方向に進むこともあります。
「おみくじ」を使う場合は、それを考えた上で解釈をすることが大切ですね。
『悔吝(かいりん)を憂うものは介に存し』
易経の繋辞上伝(けいじじょうでん)には、「吉凶の分かれ目は悔・吝にある」と記されています。
「悔」とは、後悔することです。出来事を恐れます。原因を探り改めます。
「吝」とは、惜しむことです。出来事の変化を惜しみます。現状維持をします。
「介」とは境目のことです。
「過去」に囚われ過ぎる、または、「将来」を悲観し過ぎると、陰陽が交わらないために「化学反応」が起こりません。
「介」のフィルターの「穴」を調節しながら、「過去」と「将来」の気を、混ぜ合わせていきたいですね!
「まあいいか。。。」と言うと、フィルターの「穴」が柔軟になってくれますよ。