11月の「暦」の景色:「乙(きのと )・亥(いのしし)」:五行の気の「私」の解釈
全ては「気」。
「気」は集まり、固まり、そして、分散して、拡散する。
それが、天(上)に向かって流れたり天から降りてきたり、地(下)に向かって沈んでいったり、地から湧き上がってきたり。
森羅万象、全ては、そのように絶えず動いている「気」の「渦」の中の「一部」として存在をしているのです。
「渦」は時として、勢いよく、熱く、荒々しく、そして、か弱く、冷たく、勢いが弱くなり、淀んでしまったり。
その「渦」の中で、人も、「渦」の「一部」として存在しています。
東洋思想は、この「気」の概念を大切にし、「気」といかにして「感応」していくか、「感応」することで、「渦の一部」として存在していくのかを説いている思想です。
それは、科学的なデーターに基づいたものではありません。
先人たちが、「次の世代」に向けて、たくさんの「試行錯誤」の積み重ねを参考にし、「こんな時には、こうしたら良かったよ」と、経験を伝えてくれているのです。
なので東洋思想は、たくさんの「経験」から生み出された思想です。
四柱推命も、推命家がたくさんの「経験」に基づいて、「この干支が巡る時には、こうしたら良かったよ」と、試行錯誤を繰り返し、それが「流派」として体系化されたものです。
四柱推命は、「自然哲学」とも言われますが、私は、「経験哲学」でもあると感じています。
だからこそ、私の「経験」も、解釈に影響をするので、というか、私の「経験」があってこそ、やっと「私の解釈」ができるようになります。だから、「誰かの経験」は「私の解釈」ではありません。
「わたし」が「気」をどう感じるのか。
「わたし」が「気」を受け止めて、どう「感応」して、それを言葉に変えていくのか。
「わたし」の「言葉・気」を受けた人が、どう「感応」するのか。
そして、それを「人」が「経験」として落とし込み、その「人」の「解釈」まで練り上げることができるのか。
その「過程」を、暦を使ってサポートしていくのが、「推命家」です。
自分の「解釈」ができれば、自分の「言葉」が生まれ、「行動」が始まります。
何事も「経験」
結局は、やってみなければわからない、ということだと思います。
東洋医学の概念は
いかにして「生きるための気」を守るか。
そして、「生きるための気」のエネルギーを奪う「邪気」を払うか。
ということです。
そのためのアプローチとして、自らの「気」にダイレクトに刺激を与える「鍼灸」と、外からの「気」を取り込むことでコントロールする「漢方・薬膳」の二つがあります。
「鍼灸」は、「気」の巡る道である「経絡」を刺激することで、身体のエネルギーを活性化したり抑えたりします。
なので、「自分の力で」がポイントです。
それは「交通整理」をして、車や人がスムーズに進めるようにするイメージです。
「漢方・薬膳」は、外からの「環境の気」を上手く利用することで、調整、すなわち「養生」するものです。
なので、「助けてもらう環境」を間違えないことがポイントです。
それは、喉が乾いたから水をたっぷり飲もう、と「適量」の水を飲むようなイメージです。
アプローチの方法は違っていても、目指すゴールは一つです。
「生きるための気」を大切にすること。
すなわち「自分を大切にすること」
東洋思想は、「貴方は貴方。だから、貴方が自分で、自分を大切にしてね」と気づかせてくれる思想です。
人の「気」には二つの「気」があります。
まずは「先天の気」です。
これは、親からいただいた「命の気」です。
この世に持ってきた「気」です。
ゲームで言うと、「持ち点」みたいな感じです。
体質や、気質も「先天の気」に現れます。
そして、もう一つは「後天の気」です。
これは、外からもらう「気」です。
薬膳理論では、飲食物などで効率的にこの「後天の気」を取り込めるように、食材を選びメニューを組み立て、調理をします。
ゲームで言うと、「ゲットするアイテム」だったり、マリオがゲームの途中で、チャリンと受け取る「コイン」みたいな感じです。
東洋医学の現場で活躍されている先生方は
「肝気」を抑え「腎気」を守る
と言われます。
それは、なぜかと言うと、「腎」には「先天の気」が貯蔵されていると考えられています。
そして「肝」は、成長するために上昇する「気」です。
「肝腎要」
「肝」と「腎」はとっても大事なのです!
「肝」は五行では「木」です。
植物が、種の殻を突き破り、自らの力で小さな芽を出した世界です。
進化のサイクルの一番手。それはスタート。進化がここから始まります。
「腎」は五行では「水」です。
「水」は、五行の進化のサイクルの中では「最後」に位置しています。進化のサイクルの最後の「景色」は、水が小さな粒となり、霧雨となり、霧となり、ふわっとした形のない「感覚」だけが残る世界です。形のないものは、すなわち「思い」。「楽しかったな」とか「辛かったけど、でも仕方ないね」とか「終わってしまったからとりあえず受け止めよう」」とか。そんな「思い」が最後に残ります。
「水」は「木」にエネルギーを注ぎ込みます。
そして、全ての「水」を注ぎ込んで、一つの大きな「人生」のサイクルが完成して、「思い」となって、ふわっと拡散していくのです。
東洋思想の観点から考えた「人生」とは、どんな「思い」を最後に感じる事ができるのか。そのため「進化」し続けていく。それを自分なりに考えて、「死ぬまで生きる」こと。
いろんな事があったけど、まあ、なんだか楽しかったな。こんな感じで良かったのかもしれないな。
最後にこんな風に思えたら、きっと「いい人生」と言えるのかもしれません。
「水・腎」の気を守るには、無駄使いは厳禁です。
「水」は「木」がすくすくと育つために、ひたすらエネルギーを注ぎ込みます。
もしも、やりたい事があったとして、芽を出したいのに、小さな芽を、何度も何度も諦めて抜いてしまったとしたら・・・・。
「水」はどんどんエネルギーを注ぎ込み、「水」が「木」に向かう所で、エネルギーの循環が滞ってしまう事でもあるのです。
サイクルは、巡ることによってのみ、バランスをとる事ができます。
「水」が母となり「木」を育て
「木」が母となり「火」を育て
「火」が母となり「土」を育て
「土」が母となり「金」と育て
そして、「金」が母となり「水」を育てます。
それからまた、新しい「サイクル」が始まっていくのです。
やりたい事を諦めてしまうことが、どんなにもったいない事であるのか、五つの気のサイクルが教えてくれています。
逆に言うと、諦めずに続けていけば、巡り巡って、「状況」が進化して変わっていき、それは「ゴール」に向かって巡っています。
11月8日、今日、月の「暦」が動きました。
11月8日から12月6日までは、「乙・亥」が巡ります。
「乙」は「木・陰」
「亥」はたっぷりと「水」を含んでいて、その「水」の中にはちょっとわがままでマイペースな、やんちゃな「芽」が眠っています。
「乙」は繊細なつる草のように、か弱そうには見えますが、実はとてもしたたかです。進めそうな場所を見つけては、ニョロニョロと枝葉をはびこらせて、「見かけによらず、意外にできるのね」と、みんなが驚いて、一目置いてくれるかもしれません。
「亥」が水を注ぎ込んでくれるから、それを素直に受け取ること。
だから、周囲に助けてくれそうな「場所」を見つけたら、勇気を持って「利用」してみる。
「結果」を意識するよりも、「今何ができるかな?」に目を向けてみる。
11月の月の「暦」は
諦めないでね
と言ってくれます。