決して壊れないもの:タロットカードの私の解釈「塔」
建築物には詳しくはないですが、そびえ立つ建物の造形は、とても美しいと思います。
ニョキニョキと生えているようにそびえ立つビル。
真っ直ぐに写真を撮るのは難しい。
ちょっと斜めになってしまった。。。
登る朝日が写り込んだ、ビル。
まるで鏡のように、光が映し出されて美しい。
「塔」のカード
「破壊」「破滅」「転落」「災難」「突然の変化」
暗黒の闇の中、稲妻が、高くそびえ立っていた塔に襲いかかりました。
あまりにも突然の出来事に、塔はもろくも崩れ落ちます。
人々は、なすすべもなく、放り出されてしまいました。
プライドと名誉の象徴である王冠を被った男性は、真っ逆さまに落ちています。
一生懸命守り続けた王冠は、稲妻を回避するには全く役に立ちません。それどころか、王冠の重みで、男性は顔を上げることができないので、どこに落ちて行くのかを知ることもできません。知ることができないので、なすすべもなく、落ちて行くしかありません。
情熱の赤いマントを着た男性は、マントが風を受けてくれているのか、頭を上げて、落ちて行く先をしっかりと見ることができます。落ちることは避けられませんが、でも、危険な場所に落ちそうになったら、少しは、危険から体を守る体勢をとることは可能です。
塔を作るため、人々は、時間をかけ、お金をかけ、コツコツと、努力を怠らず、一生懸命に頑張りました。
塔が完成した時は、とても誇らしく、晴れやかな気持ちで、塔を見上げました。
形ある塔は、そんな人々の気持ちを代弁するかのように、晴れやかに、堂々と、そびえ立っていました。
ずっとこの先も、塔は立っていると、みんな思っていました。
なぜなら、たくさんの時間とお金をかけて、積み上げてきたから。頑張って形にしたから。辛い時も、負けずに形を整え、守り続けてきたから。
こんなに呆気なく壊れてしまうなんて、そんなことは、受け入れるなんてできません。
人々は、壊れた塔の前で、呆然と立ち尽くすことしかできないのでした。
「塔」のカードは、タロットカードの中でも、「出て欲しくないカード」として、真っ先に思い浮かぶカードかもしれません。
でも、「塔」の物語は、これで終わりではないと私は思います。
一人の人が、顔を上げてみました。
瓦礫が目に入り、その瓦礫を一つ、片付けてみました。
一つまた一つ
片付けてみると、次の瓦礫も気になって、どんどん片付け始めました。
それを見ていた人たちも、やっと気持ちを立て直し、人々が重い腰をあげました。
瓦礫を一つづつ、一つづつ、片付けていきます。
「こんな事もあったね」「あの時は、楽しかったね」
過去を振り返りながら、懐かしい思いが、人々の胸に蘇ります。
「懐かしい思い」は人々に優しく微笑んでくれました。
同じ感情を持ち続ける事は、とてもエネルギーを使うことです。
「懐かしい思い出」を振り返っているうちに、毎日、同じ思い出話しを繰り返すに、だんだんと飽きてきていきました。
人々は、また一つ、また一つ
瓦礫を片付けていきます。黙々と、一生懸命、目の前の瓦礫を片付けていきました。
そのうちに、思い出話しをしなくなっていきました。
すると、突然、瓦礫の下に、可愛らしい小さな芽が顔を出しているのを見つけました。
人々が小さな芽の周りに集まってきました。
瓦礫の下で、新しい命が宿っていたのです。
これから芽はどんな風に大きくなっていくのかはわかりません。
綺麗な花を咲かせるかもしれないし、鮮やかな緑の葉をいっぱい茂らせるかもしれないし、美味しい実をたくさん実らせるかもしれないし。
想像するだけで、楽しくなってきました。
そして芽は成長していきます。
何年後か、わからないけど、きっと「小さな芽」は大きくなって、その周りには人々が、楽しそうに芽を見上げていることでしょう。
そこには、かつて塔がそびえ立っていた面影も何もなくて、すっかり様変わりした景色が 広がっています。
かつてあった「塔」はもうないけど、崩れ落ちた瓦礫を、諦める事なく、一つづつ一つづつ片付けていったから、芽がすくすくと成長できたのです。
人々は、そのことを誇らしく思います。
決して諦めることのなかった「思い」は、ずっと、変わることなく、語り継がれていくのでした。
形のあるものはいつか壊れてしまうけど
形のないものは壊れることはありません。
カードリーディングで「塔」のカードが出た時は
去る者は追わないこと。もう戻ってこないから。
でも、限界まで頑張った気持ちは、ずっと忘れないでください。
頑張れた貴方は、本当に素晴らしい。
と、お伝えしています。