「火」と「水」:「水火激冲」と「水火既済」
五行の組み合わせの中で、最も「厄介」なペアがあります。
それは、「火」と「水」のペアです。
この二つが出会うと、「運気が混乱する」または、「運気が最も美しくなる」と、全く異なる解釈をされます。
「運気が混乱する」のは、「水火激冲」と言われます。
これは、燃え盛る「火」の中に、冷たい「水」を投じると、両者が熱い水蒸気を生み出すために、辺りが混乱して収集がつかなくなります。
これが起こるのは、「命式」そのものに問題があ場合だけではなくて、巡ってくる「大運」「年運」「月運」や、十二支同士の組み合わせで「一時的」に起こることもあります。
もう一つの、「運気が最も美しくなる」のは「水火既済」と言います。
これは、大海原に太陽が照り、太陽の光が水面にキラキラと光り輝く状態です。
「火」は「丙」、「水」は「壬」の時に起こると言われています。
「丙」は「火・陽」です。太陽の象徴です。
「壬」は「水・陽」です。大海原の象徴です。
「陽」の気は、外向きに動く特徴があります。つまり、外からの影響を受けません。
そのために「丙」は、まるで太陽の様に、辺り一面に明るさを放出していると考えるのです。なので、太陽の象徴と言えます。
「壬」は、誰にも遮られずに「水」として存在できる「海」や、大きな流れの川の象徴と言えます。
ちなみに、「火」の「陰」は「丁」です。
「丁」は、風になびく「炎」
「水」の「陰」は「癸」です。
「癸」は大地や植物や人や動物などの体内に吸い込まれていく「雨」です。
「陽」同士の組み合わせが「吉」なのに、「陰」が来ると「凶」となる。
それでは、「陰」は悪者なのか?
そう考えたくもなりますが、そんな事はありません。
なぜ、そう言えるのか考える前に、五行論の成り立ちについて考えてみましょう。
五行論は、斉国の陰陽家である鄒衍(すうえん)が考案したと言われています。
鄒衍は、五行を捉える時、最初に「火」は「太陽」であると考えます。
そして、その次に、「水」は「月」であるとしました。
そして、残りの五行を惑星に結びつけていき、「暦」を作成したと言われています。それから、五行は、万物に当てはめられていったのです。
既に知られていた「陰陽論」に当てはめて、「火」と「水」の象徴を考えました。
つまり、「火」は「陽」で、「水」は「陰」であるとしたのです。
「水火激沖」は、火の中に水を投入した状態なので、陰陽が混じり合っていることになります。
これは、「太陽」と「月」が混じり合って空に浮かんでいる状態です。こんな事が実際に起こったら、大変ですよね!
「大混乱」です。
太陽と月が重なって見える「食」が恐れられていたのも、ここからきているのかもしれないですね。
「水火既済」は、「太陽」と「海」は、お互いに接触はしていません。距離を保ち、お互いを攻撃しあう事なく、その場所に存在しています。
これは、陰陽が最も安定してバランスをとっていると言えます。
「火」は「火」として輝き
「水」は「水」として波を立てる
「水」は「火」を消してしまおうとはしていないし、「火」も「水」の波を止めようとはしません。
良い距離感を保つことで、それぞれの力が存分に出せています。
だから、「最も美しい」とされているのです。
「水火激沖」にならない様にするには、これらを踏まえて、調整をしていきます。
ポイントは、「良い距離感」「お互い邪魔しない」「ごちゃ混ぜにしない」
つまり、「オン・オフ」の切り替えをきっちりとすると良いというわけです。
・交感神経と副交感神経のバランスをとる
・仕事時間とプライベート時間を分ける
・睡眠時間を確保して、起きている時と寝ている時のメリハリをつける
など。
四柱推命では、「水火激沖」を防ぐために、「金」を用いると考えます。
「金」は、きっちりと切り分ける気です。
気分転換を図りながら、オンとオフを切り分けることで、「火」と「水」は、最高の美しい景色に変わってくれるのです。
五行の組み合わせは、暦上だけで起こるのではありません。
世の中のものは全て気で構成されています。
だから、誰でも「太陽」と「月」がぶつかり合う危険があることになります。
いくら考えてもまとまらないし、気持ちばかり焦って、何も手につかなくなって、夜もなかなか眠れずに、朝はいつまでも眠い・・・・
これは、もしかしたら、「水火激沖」になっているかもしれませんよ。
そのままでは、大変。
そんな時は、とりあえず、大きく息を吐いてから「深呼吸」を3回してみましょう。
体の中に吐き出せずに溜まっている二酸化炭素を追い出して、新鮮な酸素を吸い込む。
「金」は呼吸を司る気です。
だから、埋もれていた「金」が目覚めて、状況を改善してくれるはずですよ。