「地支」を受け入れると上手くいく:魔がさす瞬間の「景色」・<亡神>
全てのものは、「陰」「陽」の二つの相反する質を兼ね備えてこそ、成立することができると東洋思想では考えます。
暦を用いて、その人の「運」や、巡る「運」を紐解いていく四柱推命においても、「陰」「陽」をとても大事に考えていきます。
この世に生まれ落ちた時の「気」は、その人の手に入れた「時の気」であり、その人の「種」となります。
それを「命式」と言います。
「命式」は、十個の干支である十干と、十二個の十二支の組み合わせから出来ています。
十干と十二支は、一つのペアとなります。単体では成り立ちません。
「命式」の中では、十干は「天干」、十二支は「地支」と言います。
「天干」は「陽」の部分を
「地支」は「陰」の部分を
それぞれ担当しています。
植物で例えるならば、「天干」は枝葉や花や実、「地支」は地面の中に伸びていく根っこです。
「天干」は「陽」なので、外向きに動きていく流れで、表面に現れ明るみになっていきます。
それは、机の上に並べていくように。
なので、他人と共通認識が出来ます。目に見えるからわかりやすいのです。
つまり、「天干」は、「顔」の部分を表していると考えることもできます。
また、「行動」「発言」「主張」も「天干」から読み解けます。
「地支」は「陰」なので、水面下で密かに広がっていきます。土の中で根を張る過程は、土を侵食して蝕んでいくこともあります。蝕まれてしまった土は、ある時崩れてしまいます。
その反対に、根が張るからこそ、土が「固まり」となることもあります。プランターの中で根が蔓延ると、植物を抜いた時に、そのままスポッと外れるような感じです。
「地支」が表すのは、その人の内面です。
心の中で何が、どのように蠢いているのかを「地支」が表しています。
十二支の解釈はとても難しいです。
それは、十干と違って、机の上に並べることができないからです。
なので、人によって捉え方や解釈が異なります。感じ方も異なります。
しかも、当の本人でさえ、想像することしかできないために、非常に悩みます。
なので、解釈が難しいのです。
でも、だからこそ面白いとも言えますね。
頭では理解しているはずなのに、つい、やってしまった・・・・
ダメなのはわかっているけど、諦めることができない・・・・
突き動かされる衝動に動かされてしまった・・・・
これらは「地支」が急激に蠢いている時に起こる現象です。
言葉では説明できなくて、人にも理解してもらえない、もちろん、自分でもなぜなのかわからない。「地支」は人を、突き上げてきます。
とてもドラマティックに。
そして、想定外の力が「天干」を動かして、想定外の「行動」は、新しい「変革」を起こします。
計画を順調に遂行することで、約束された予定通りの「成功」を手に入れたいと考えている人にとっては、ちょっと怖いかもしれません。
でもそれは、「変革」ではなく延長線上にある「過程」に過ぎません。
「好きなことをやっていると、いずれは上手くいく」
これは、ある意味間違ってはいないと思います。
「好きなこと」は土の中の根っこが、ストレスなく伸びていける環境と考えられるからです。
ただし、上手くいくかどうかは、残念ながら断言はしかねます。
根だけ立派でも、枝葉を伸ばして、花を咲かせるには、「旬」の時期を間違えてはいけないからです。
なので、自分の都合では上手くいかず、周囲の「季節」に合わせる必要があります。
そのために、「行動」「言動」「主張」は、「季節」に応じて出していかなくてはいけませんね。
ということで、結局は、我慢するとか、努力するとか、待つとか、人の意見を聞いてみるとか・・・だから「好き」だけでは上手くいくかどうかはわからないですね。
でも、「好き」でなければ我慢はとても辛いから
好きでなければ続かないし、成功できないとも言えます。
もしも、万が一でも何かの拍子で嫌いなことで成功してしまったとしたら・・・・・
これはかなりキツイでしょうね。
では、十二支をどのように捉えていくと良いのでしょうか。
私は「季節」として捉えていくと理解しやすいのではないかと考えています。
なぜなら、日本は豊かな四季があります。
どこに住んでいても、4つの季節を十分に感じて楽しんでいる日常があります。
それと合わせて、五行の四季と一緒に捉えていきます。
十二支の季節は次のようになります。
<春>(木)
1)寅
2)卯
3)辰
<夏>(火)
1)巳
2)午
3)未
<秋>(金)
1)申
2)酉
3)戌
<冬>(水)
1)亥
2)子
3)丑
1)は全て勢いがあります。強く衝撃的です。
季節がこれから移り変わっていく、今までの季節を押し退けて、自分が頂点に登って行こうとするからです。
2)は頂点を極めた状態です。盛りを迎えました。
ただし、盛りを過ぎる予感を感じ始めます。なので、なんとか抵抗しなければと葛藤が生まれるのです。
3)は下がっていきます。どんどん次に向かっていきます。移り変わりの時期です。
どんどんまとまっていき、どんどん小さくなっていきます。気持ちが内面に向かって、かつての「盛り」を懐かしむのです。
「季節」の捉え方も、人によって違います。
「夏」といえば、「花火」が浮かぶ人もいれば、「蝉の鳴き声」を思い出す人もいます。また、好きな季節と苦手な季節もありますね。
なので、自分の考える「季節」に照らし合わせて、解釈をしてみてくださいね。
季節にも「想定外」の天候があるように、「地支」にも「想定が」があります。
ある特定の「十二支」が重なり合うことで、突然の「異変」が起こります。
魔がさす時とも言えるかもしれません。
それを「亡神」と言います。
「亡神」とは、専門的な用語を使うならば、三合局と擬似局を構成する十二支が4つとも全て揃うことです。
・申・亥・子・辰・・・・「水」の亡神
・亥・寅・卯・未・・・・「木」の亡神
・寅・巳・午・戌・・・・「火」の亡神
・巳・申・酉・丑・・・・「金」の亡神
例えば、「命式」の「地支」に「申・亥・子」を持っている場合、「辰」が巡ってきたき、「辰」を持っている人とご縁が繋がった場合など、「水」の気が溢れることになります。
「想定外」が吉と出るのか凶と出るのかは、どうなるかわかりませんが。
でも、地面が大きく揺らぎます。心が大きく踊ります。
だから、大変身ができる可能性があるのです。
もしも、「あの時、どうしてあんな事ができたんだろう」と振り返って感じる時期があるとしたら、「亡神」が起きていたのかもしれないですね。
いずれにしても、突き上がる衝動は、「天干」で受け入れて、形にしていく行動をすれば、きっと上手くいきます。
衝動に飲み込まれないで。
衝動を受け入れる。
そんな懐の深さが大事ですね。