「信じる」と未来の可能性が「現実」になります:「自由」の意味:タロットカード「愚者」
「自由」を獲得するために、「人」は戦ってきました。
そして、それは今も、「戦い」はしなくても、
「自由に休みが取れたらいいな」
「縛られずに、やりたいことだけやって暮らしていけたらいいな」
そのために、頑張って、いろいろなものを手に入れます。
そして、本当の「自由」を手に入れると
「自由であることも、結構大変なこともある」ことに気づきます。
人間は、自由になればなるほど、心の底では耐え難い”孤独感”や”無力感”に脅かされることになる。
「自由からの逃走 新版」 エーリッヒ・フロム著 東京創元社
「何にも縛られない」世界とは、大海原に、一人ポツンと浮かんでいるような感じだと思います。
一人で船を漕いで、「見えない目的地」に向かって
時には、潮の流れに助けてもらいながら
時には、潮の流れに意地悪をされて引き戻されてみたり
自分一人で、誰にも相談できずに、舵をとって進みます。
船が波に飲まれて引っ繰り返りそうになったとしても
「危なかったね」
と、ほっとし合う「人」はいません。
吹く風が心地よく感じても
「気持ちいいね」
と、笑顔で笑い合う「人」もいません。
地図が読めなくても、わからない箇所があっても
「これ、どう思う?」
と、聞いてくれる人はいません。
途中で道に迷ってしまい不安になっても
「こっちで良いのかなあ」
と、一緒に考えてくれる人はいません。
全て一人で決めて、一人で行動し、そして、行動の結果の責任は自分にあります。
黙々と進んで行かなくてはいけない状況は、孤独感と無力感に苛まれ、恐怖すら感じます。
やはり「誰か」と分かち合いたい。
「束縛」されるものがあることは、「安心感」を感じる「場所」を確保できていることでもあると思います。
心理学者アブラハム・マズローは「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生き物である」と仮定し、人間の欲求を5段階に理論化しました。 (マズローの欲求5段階説)
第1段階 生理的欲求
生存のために必要な本能的な欲求
第2段階 安全欲求
安心であり安全であることへの欲求
第3段階 社会的欲求
集団帰属、愛情を求める欲求
第4段階 承認欲求
他者から認められたいと思う欲求
第5段階 自己実現欲求
「あるべき自分」でありたい欲求
人は、段階的に、欲求を満たしていく必要があるとされています。
「何にも縛られない自由」であり、「やりたいことをやる」状況は、
第3段階を飛ばして、第5段階に突入している状況です。
それはとても大変で、フロムが言っているように、「逃げ出したく」なるのは無理もないと思います。
「何にも縛られない自由」を手にして、「自己実現」するために必要なのは、「創造的な仕事と愛である」とフロムは言っています。
創造とは、「新しいものを生み出すこと」
創造的な仕事とは、これからの未来に向かって、必要とされるものを想像して、本当に必要とされるかはわからないけど、それでも「きっと役に立つはず」と信じて、社会に向けて、提供することです。
未来がより良くなることを信じ、作り上げるものがより良くなるためにきっと役立ってくれると信じ、「可能性」に賭けて、エネルギーを注ぎます。
愛とは、「相手」の存在を必要とし、「相手」のこれから未来に向かっていく姿を想像して、未来に向かうその先には「相手」が本当にやってよかったと喜んでいる姿があることを、「相手」以上に、信じることです。
「相手」の「可能性」も含めて大切だと思うことです。
「未来」に投資することは、未来に「所属」することになるのかもしれません。
「未来」に、自らの「居場所」を作ることになるからです。
だから、やっぱり「人」は「居場所」が必要です。
タロットカードで「自由」というと、「愚者」のカードです。
22枚の大アルカナのカードの一番最初(0番)に位置付けれらています。
大アルカナのカードは、「愚者」の人生の旅の「物語」です。
誰にも縛られず、強い決意をするでもなく
「ちょっと行ってきます」
と言って、「愚者」は旅に出ます。
着物も軽装で、荷物もほとんど持たず、「白い犬」が「危ないよ」と忠告してくれているにも関わらず、見向きもせずに、崖から飛び越えて、「次の世界」に向けて出発をします。
背景の色は「黄色」です。
「黄色」は「土の気」の色です。
「土の気」は、「信じる」心を持っています。
「愚者」は「信じる心」に守られ、旅立ちます。
「愚者」は、崖の向こうには素敵な世界が待っていてくれることを、信じているから、一人でも、こんなにも軽やかに進んでいけるのかもしれません。
「愚者」は、本当に強い。
「強い人」の未来は、とても美しい世界が待っています。
未来を信じると、人は強くなれるのだと思います。