命式の「偏り」は、その人の大事な「個性」です:日柱干支「水」の場合の「偏り」パターン5種
五行の中で、一番解釈に悩むのは「水」だと思います。
「水」は、姿形を容易に変えて、どんな環境にも馴染めるからです。
小さいコップの中の「水」もあれば、勢いよく流れる濁流の「水」もあるし、また、降り頻る雨も、水蒸気も、霧も、全てが「水」です。
特に、「癸」(水・陰)は、小さな小川でもあり、雨でもあり、水蒸気でもあり、霧でもあり・・・・と、まさに七変化します。
そして、最終的に「水」が到達する景色は、拡散して広がっていき、全てと混じり合う世界観です。
なので、日柱干支が「癸」(水・陰)の場合は、「つかみどころのないミステリアスな人」と解釈されることが多いのも頷けます。
周囲の影響をそのまま受け、周囲と一体化していく景色なので、「水」の場合は、周囲の五行のバランスも合わせて観ていきます。
「癸」が一つであれば、とても小さな「水」なので、消え入りそうな雨として観ていきますが、もしも、命式の中に、もう一つ「癸」があれば、立派な「水」になり、「壬」として解釈する場合もあります。(これも周囲の気を観た上での判断になるのですが)
また、「壬」と合わさると、「癸」は「壬」に変身します。
そんな「摩訶不思議」な日柱干支が「水」の場合の、偏りのある5つのパターンについて書いてみますね。
1)強水(きょうすい)
これは「水」が強過ぎる場合です。特に干支だけでなく、十二支にも「水」が入っていると、とても強く頑丈な「水」となります。なので、周囲の影響を受けにくくなります。濁流が勢いよく流れていている状態です。勢いがありすぎると、堤防を乗り越えた水流は、辺り一面を飲み込んで、海のように変えてしまいます。
「壬」と「癸」では、調整方法が変わります。
※「壬」の場合
川が、今にも溢れそうな濁流となっている景色です。なので、堤防を高く強くしなくてはいけません。
「土・陽」の「戊」を用いて堤防を作ります。隆起する「土」で、「水」の流れを遮るのです。そして、その上で、「甲」で余分な水を吸い上げます。そうすることで、より「水」を抑えることができます。
それから、もっと良い状態にしたい時には、「丙」を用います。
「壬」と「丙」とは、相反する気なのですが、この二つの合わさった景色は、大海原に太陽の光が降り注ぎ、海面がキラキラと輝く素晴らしい景色であると考えます。(水火既済)
これは、「最も素晴らしい組み合わせ」とされているのです。
※「癸」の場合
「癸」は、「土」を嫌います。どんな場合であっても、「癸」には「土」は使いません。
「癸」は、雨のような気です。それはパラパラと気まぐれに、降り注ぎます。なので、囲われることが嫌いなのです。「土」があると、「水」が「土」に囲い込まれて吸収されて、閉じ込められてしまいます。
この場合には、「木」(特に「甲」が有効)を用います。強過ぎる水を「木」が吸い上げて、「木」が大きく育っていきます。
そして、その上で「火」を補います。「木」が育っているために、「火」は「木」に助けてもらって、大きな「火」となっていきます。そして、「火」が「水」を抑えます。
2)縮水(しゅくすい)
「木」が強過ぎる場合には、「水」が吸い上げられてしまい、その力が弱められていきます。
「水」と「木」の関係は、「水」がお母さんで、「木」が子供です。
「木」が多すぎるのは、世話がかかる子供たちがたくさんいて、お母さんが休む間もなく子供の世話にかかりっきり、疲れてしまう状態です。
しかも、「木」はどんどんと大きくなりすぎます。
なので、「木」を抑えて「身軽」にします。
「金」を用いて「木」を切り倒していくのです。
疲れている「水」そものもを補ってしまうと、「木」が強められて、大木がニョキニョキ育ちすぎます。なので「水」は用いません。
3)沸水(ふっすい)
「火」が強過ぎる場合は、「水」が沸騰し蒸発してしまいます。つまり、「水」が分解して拡散してまとまりがなくなってしまいます。
なので、強すぎる「火」を抑えて、「水」が沸騰するのを阻止しなくてはいけません。
勢いのある「火」を抑える方法としては、「金」を用います。「水」は用いません。勢い良く燃え盛る炎は、水をかけても消える事なく燃え続けるからです。しかも「水」は即座に蒸発してしまい、それどころか、熱い水蒸気が広がって危険です。(水火激冲)
まずは、「火」を「金」で鎮静化していきます。
その上で、ゆっくりと「水」を補います。
4)瘀水(おすい)
「土」が強過ぎてしまうと、「水」が必要以上に堰き止められてしまいます。「水」は止まる事なく流れるからこそ、清らかで澄んでいるのです。なので、止められて、一つところに閉じ込められると、清らかな「水」は濁ってしまいます。
「土」を抑える方法には、「木」を用いる場合もありますが、「木」は「水」を吸い上げるために、いきなり「木」を用いてしまうと、濁って疲れている「水」にとっては、ますます「過酷」な状況に追いやってしまいます。
なので、もう一つの方法を、先に用います。それは、「土」のお母さんに、「金」の子供たちのお世話をしてもらい、疲れさせるのです。
「金」を用いてから、「水」を補います。
それから、さらに「木」を補うと、「木」は「土」の栄養をもらって大きくなるので、「土」の力を弱めることができます。
5)滞水(たいすい)
「金」が強過ぎると、「水」が生まれ過ぎてしまいます。
「金」と「水」の関係は、「金」がお母さんで「水」が子供です。つまり、お母さんがたくさんいると、子供たちが増えすぎことになります。水がどんどん湧いてきて、上手く流れることができなくなって滞留してしまいます。
「水」については、とにかく「サラサラ」流れることを目標とする気です。だから、滞留するのは嫌うのです。
多すぎる「金」を抑えるのは、「火」(特に「丁」)と用います。
「金」を「丁」の炎で溶かしていくのです。
ただし、ここで一つ問題が発生します。というのも、「金」が溶けると「水」に変化すると考えます。なので、このまま「丁」だけ補って安心してはいけません。
という訳で、「木」を補います。「木」に「水」を吸ってもらい、しかも「火」の熱源になってもらって、「火」を助けます。
いきなり「木」だけ用いると、多すぎる「金」は、根こそぎ「木」を切り倒してしまいます。なので「火」を使うのです。
命式に偏りがなかったとしても、運は周囲の影響をものすごく受けるので、一時的に偏ることがあります。
なぜがいつもと違う気持ちになる、いつもだったら出来ないことができそうな気がする、など、「普段と違う」感覚を覚えているならば、もしかしたら「偏った命式・もどき」になっているのかもしれませんね。
特に、10年毎に切り替わる「大運」からは、非常に大きい影響を受けるために、大きく偏る可能性が高くなります。
「偏り」から「動き」が生まれます。
つまり、「偏り」を利用すると動きやすくなるとも言えますね。
バランスをとるとは、「安定」して動かなくするのではなく、「偏り」を良い感じに調整していくことなんですよ。
その調整方法は、偏りすぎた場合の方法と同じです。
良かったら参考にしてくださいね。
※日柱干支「木」の場合の「偏り」についてはこちらをご覧ください
※日柱干支「火」の場合の「偏り」についてはこちらをご覧ください
※日柱干支「土」の場合の「偏り」についてはこちらをご覧ください