「ネガティブ」に向き合う:タロットカードの私の解釈「月」
暗闇の中にいると、不安になります。
周囲が見えないと、周囲の世界を自分で想像してしまうからです。
人が「生き延びる」ためには、「安全」であることが大前提です。
いち早く「危険」を察知し、「安全」な居場所に身を隠し、「危険」が何事もなく通りすぎていくことを期待して、その場を動かず、現状を維持しようとします。
だからこそ、人は生き延びてこられました。
なので、人の本質は「ネガティブ」です。
今の日本は、命を脅かされるような「危険」な場所はありません。
食べ物もお金を払えば手に入るし、襲ってくる猛獣もその辺を歩いてはいません。水が欲しい時は、水道の蛇口をひねると水が出て、喉の渇きを潤すことができます。
暗くなっても、電気が明るく街中を照らしてくれて、繁華街は、夜中でも、まるでお昼のように、煌々ときらびやかに輝いています。
「目に見える場所」は、技術の力で「安全」になりました。
でも、人の「心」は、技術力が手の及ばない「場所」です。
なので、個人差はありますが、「心」は「ネガティブ」のままだと思います。
「ネガティブ」だからこそ、慎重にもなれるし、しっかり準備もできるし、そのための努力もコツコツをできるのです。
「月」のカード
「曖昧」「スキャンダル」「移ろい」「幻想」「迷い」
22枚の大アルカナに中で、人ではなく動物が描かれているのは「月」のカードだけです。
吠えている狼と犬は、人間の獣性を示していると言われています。
そして、ザリガニは「猛獣よりも低きもの」を示すと言われ、低いレベルの欲望や、人がコントロールすることが困難であるほどの恐れや不安を表しています。
天空では、「月」が輝いていますが、「月」は「満ち欠け」を繰り返します。
その輝きは、満月のごとく暗闇を明るく照らすこともあれば、新月のごとく真っ暗闇に、その存在すら感じられず、何も照らさない、とても不安定な輝きです。
それでも「月」は、輝きます。
「月」は苦悶に満ちた表情で下界を見つめています。
「獣たち」と「ザリガニ」が。暴走してしまうのではないかと、心配で不安で仕方ないのでしょう。
それでも「月」は輝きたいと思っています。
だから「月」は、形が変わっても、気持ちが揺さぶられても、下界の低次の「思い」に支配されてしまわないように、下界をしっかり見つめながら、一生懸命輝き続けるのです。
天高く、美しく輝き続けるために、「月」は、じっと、下界に目を向け続けているのです。
何かを決断する時に、「怖い」という思いはしっかりと感じた方が良いと思っています。
今までやったことがないことや、未知の世界に挑戦するのは、大昔の人にとっては、まるで戦ったことのない強そうな猛獣に立ち向かうようなものです。
それは怖くて当然だし、体が震えて、心も折れそうになります。
何かを決断するためには、「根拠のない自信」が必要ですが、「根拠のない自信」は、しっかりと準備ができたからこそ、感じることができる思いです。
一生懸命努力して、もうこれ以上できないと思うほど頑張って、そこで初めて「根拠のない自信」の芽が、心の中で芽生えます。
全てのものは、陰陽のバランスの中で成立しています。
「ネガティブ」な思いにしっかり向き合ってこそ
本当の「ポジティブ」な思いが生まれます。
中途半端な「思い」からは、中途半端な「結果」しか生み出すことはできません。
カードリーディングで「月」のカードが出た時は
どうして決断できないのか、お客様が話された内容を、私が要約して書き留め、それをお客様に見ていただいています。
すると、お客様がハッと気づかれるのです。
出来ない理由は、実は、「幻想」だったということに。
「見えないもの」は、可視化することによって、より感じることができます。
「迷い」は文字にすることで「課題」になります。